メロディックマイナースケール
メロディックマイナースケールは極めて重要です。メジャースケールとメロディックマイナースケールを覚えると、ほぼ全てのコードに対応できるようになります。本当にこの2つだけで、コードシンボルに対してインサイドの音(=コードトーン+テンション+アヴォイド)を把握できるようになります。
覚え方
メロディックマイナーの覚え方は簡単です。 メジャースケールの第3音を半音下げるだけです。
使えるコード
マイナーキーのトニックコードとして使います。
I-、I-6、I-△
テンション
テンションは9th、11thです。
6thは3rdとトライトーンを発生させるので、それほど落ち着いたサウンドではありませんがテンションとして扱っていないです。
アヴォイド
メロディックマイナーにアヴォイドはありません。
メロディックマイナーの互換性
メロディックマイナースケールには互換性があります。メジャースケールとは違ってアヴォイド・ノートが無いためです。これを理解するのは大変かもしれませんが、何がなんでも理解して使えるようになっておいた方がいいと思います。
『ザ・ジャズ・ピアノ・ブック』では「Chapter 9 スケールの理論」の中の、メロディック・マイナー・スケール・ハーモニー(p78~p83)で5ページぐらい使って説明しています。
『ザ・ジャズ・セオリー』では「Part1 理論 Chapter3 コードおよびスケールの理論」の中の、メロディック・マイナー・スケール・ハーモニー(p50~p72)の、さらにp67に「メロディック・マイナー・コードにおける互換性」に20ページ以上費やして詳しく書かれています。
僕は著作権を侵害するつもりはないので、ここでは自分の言葉でサクっと書いておくにとどめます。
メロディックマイナーの互換性とは…
- オルタードスケールは、半音上のメロディックマイナースケールである。
- ロクリアン#2スケールは、短3度上のメロディックマイナースケールである。
- リディアン7thスケールは、完全5度上のメロディックマイナースケールである。
例えばC-△というコードで、Cメロディックマイナーのこんなフレーズがあったとします。
Cメロディックマイナーの第7モードはBオルタードです。 そのままEマイナーキーのドミナントとしてのB7altというコードで使えます。
Cメロディックマイナーの第4モードはFリディアン7thです。 そのままEbメジャーキーのII7で、つまりF7(#11)というコードで使えます。
Cメロディックマイナーの第6モードはAロクリアン#2です。 そのままGマイナーキーのサブドミナントとしてのAφというコードで使えます。
他にも、上級者向けですがリディアンオーグメントというのもあります。さらに名前はありませんが第2モードも使えます。しかしよく出てくるのは、上の例の3つ、すなわちオルタード、ロクリアン#2、リディアン7thです。どれもよく出てくるコードです。そして上の例を弾いてみるとおわかりになると思いますが、とてもエキゾチックでオシャレに響きます。
これは理解するのが結構難しいのですが極めて重要です。なにしろこれが使えると非常にカッコいいし便利です。ただ、これだけではよくわからないかもしれません。本をよく読んで理解を深めておく事を強くお薦めします。ちなみに使うのは簡単です。
他のマイナースケールは?
マイナースケールと言えば…
- 自然的短音階=ナチュラルマイナースケール(エオリアンモード)
- 和声的短音階=ハーモニックマイナースケール
- 旋律的短音階=メロディックマイナースケール
ですが、ナチュラルマイナーとハーモニックマイナーは、ジャズではほとんど使いませんので優先度はかなり下げていいと思います。
覚える必要のないナチュラルマイナー
ナチュラルマイナーは短3度上のメジャースケールと考えて使いますが、マーク・レヴィンさんの本には、それは怠慢で、ジャズミュージシャンなら、オルタードに変えて使う…と書いてありました。…怠慢かどうかを置いておいたしてもVIm7というコードでは、I△やIIIm7とアヴォイドが同じでコードトーンもほぼ同じなので実際ナチュラルマイナーを個別に覚えておく必要はありません。
覚える必要のない?ハーモニックマイナー
ハーモニックマイナーを使うとすれば、マイナーキーのドミナントで完全5度下のハーモニックマイナースケールです。これは「ハーモニックマイナーパーフェクトフィフスビロウスケール」という、長い名前がついていますが、「完全5度下のハーモニックマイナー」を英語で書いただけです。なんか固有の名前つけろよ、って思いますね。ナヨナヨスケールとかいいと思いますね。なんかナヨナヨします。このスケール。 で、このスケールは『ザ・ジャズ・ピアノ・ブック』では触れられていません。それほど重要度が低いのです。『ザ・ジャズ・セオリー』で後ろの方(p441)で、「Part5 その他重要なこと Chapter23 未解決の問題」の中で、滅多に演奏される事のないスケール、として紹介されています。しかし、僕の周囲では、このスケールは大切だという人がいますし、確かに初心者には優しいスケールだと思いますので、「ハーモニックマイナーパーフェクトフィフスビロウスケール」ページに書いてみました。