ディミニッシュスケール
ディミニッシュスケールは8音スケールです。各音のインターバルは全音と半音を繰り返します。4つのコードトーンと、4つのテンションから構成されています。また4つのトライトーンを含むので、不安定で怪しげな印象があります。
このスケールの解釈は簡単な部類に入ると思うのですが、コンディミの存在で混乱しやすいと思います。
対称性
3番目の音から始めると構成音は同じになります。例えば、CディミニッシュスケールとEbディミニッシュスケールは構成音が同じです。何の事だかわからない?という場合は弾いて確認してみればわかります。全音と半音を交互に繰り返しながら弾くといいでしょう。勘のいい人なら、「と言う事はEbディミニッシュスケールも同じく3番目の音から始まるGbディミニッシュスケールと同じじゃないか?」と思うかもしれません。その通りです…という事で、C、Eb、Gb、Aから始めるディミニッシュスケールは同じという事です。つまり3種類しかないのです。キーが3つしかない、と言う方が適切かもしれません。これは対称性と呼ばれる性質があるためです。こういったスケールは、シンメトリカルスケール(Symmetriacl Scale)という分類をされているようです。他にもホールトーンスケール(全音音階)も対称性を持っており2種類しかありません。そしてクロマティックスケール(半音音階)は1種類だけです。3種類のディミニッシュスケールは以下の通りです。
覚え方
残念ながら特にこれといった覚え方はありません。3種類しかないので丸暗記してしまいましょう。
コンビネーション・オブ・ディミニッシュスケールとは
誤解や混乱の要因となっているのは、コンビネーション・オブ・ディミニッシュスケール(コンディミと省略して呼ばれる、以下コンディミ)の存在です。コンディミとは、ディミニッシュスケールを第2音から始めたスケールです。したがってコンディミスケールをディミニッシュと別のスケールと扱って、覚えるものを増やす必要はありません。『ザ・ジャズ・セオリー』 『ザ・ジャズ・ピアノ・ブック』では、この言葉を使わず、その代わりに
- 全音/半音ディミニッシュスケール
- 半音/全音ディミニッシュスケール
と呼んでいます。全音と半音は英語でそれぞれ「Whole Step」と「Harf Step」なので、W/Hディミニッシュスケール、H/Wディミニッシュスケールなどと書いている場合もあるようです。書き方とか本当に色々あって困ったもんですね。それで、半音/全音ディミニッシュスケールがコンディミの事です。こちらの方を良く使います。
使えるコード
全音/半音ディミニッシュスケール
- dimコード
ディミニッシュコードはそれほど出てこないので、全音/半音ディミニッシュスケールはあまり使いません。
半音/全音ディミニッシュスケール
- V7,III7,VI7コード
マイナーのドミナントコードでは6thに違和感があるかもしれません。II7やVIIb7、VIb7などは合いません。
ディミニッシュスケールはドミナントコードで使う
ディミニッシュスケールの主な用途はこれです。ドミナントコードで半音上のディミニッシュスケールを使う訳です。「コンディミを使う」という覚え方ではなくて、半音上のディミニッシュを使う、と覚える方が合理的です。C7コードだと、C#のディミニッシュスケールを使います。
これを見れば、前半はオルタードと同じでb9と#9のテンションを持つので、マイナー的に響きます。後半はリディアン7thと同じで、特にナチュラルな6thがメジャーっぽく響きます。この音は5度下の3度になるので明暗が出る訳です。
テンション
9、11、b13、△7
テンションだけを集めると全音上のディミニッシュコードになります。半音/全音ディミニッシュスケールの時は、
b9、#9、#11、13
になります。とは言えディミニッシュスケールを使ってアドリブする時は、コードトーンとテンションの区別はそれほど重要ではありません。全音/半音か半音/全音どちらのディミニッシュスケールでも、コードトーン以外のスケールの音はテンションである、という認識で十分だと思います。
アヴォイド
アヴォイドはありません。