ハーモニックマイナー・パーフェクト5thビロウスケール
ハーモニックマイナー・パーフェクト5thビロウスケールは、少しエキゾチックな美しい響きを持っていると思います。日本語で言うと完全5度下のハーモニックマイナースケール、という事でやたらと名前が長いので難しそうに見えますがそんな事はありません。『ザ・ジャズ・セオリー』にはほとんど使わないスケールとして説明されています。確かにそうだとしても、僕の感覚では、マイナーのドミナント7thコードで最も違和感が無く普通に使えるスケールです。このスケールを使わないとしてもほぼ問題はないので優先度は低いでしょう。しかしコーダルなアドリブをする上でこのスケールを使うのが最も簡単なので、オルタードスケールやディミニッシュスケールの前に覚えておくのもアリだと思います。
覚え方
- ミクソリディアンスケールの9と13をそれぞれ半音下げて、b9 と b13 にする。
- 完全5度下のハーモニックマイナースケール。
1つ目の覚え方の方が簡単です。2つ目の覚え方はやめておいた方がいいです。ハーモニックマイナースケールは他で使いどころがありません。2つ目の覚え方だと、使わないハーモニックマイナースケールを覚えた上でそれを5度下げる、という無駄な勘定をしないといけません。
使えるコード
- V7コード
基本的にマイナーのドミナントコードで使います。III7やVI7でもよく合います。リディアン7thスケールが使えるII7、VIIb7、VIb7では使えません。
テンション
b9、b13
b13は半音下の5度の音と半音や短9度音程を作ってしまう場合がありますが、左手で5度を弾いていなければ、大抵大丈夫です。
アヴォイド
4th
ハーモニックマイナーを使う曲
ハーモニックマイナーを覚えなくても、やっていけると思っていましたが、このスケールを使うしかない曲がありました。
- You Must Believe In Spring / Michel Legrand
この曲はとても魅力的なメロディを持っていますが、ハーモニーも独特で他のスタンダートは一味違います。メジャーとマイナーのツーファイブが延々と続く曲ですが、そこにサスペンデッドとハーモニックマイナー、ハーモニックメジャーという要素が入り込んできて難易度がぐっと上がっています。