ケーデンス
トニック、サブドミナント、ドミナント等を理解したら、次はそれをどう組み合わせるか、という話になります。その組み合わせの最小単位をケーデンス(Cadence)と呼びます。ドイツ語ではカデンツ(Kandenz)、日本語では終止形です。終止形と言っても必ずしも曲の終わりの方に使うもの、と言う事ではありません。コードが単語だとすると、ケーデンスは熟語のようなもので、コードを2つか3つくっつけて出来るひとまとまりをケーデンスといいます。さて、そのケーデンスですが実は種類が少ないのです。大まかにわけると3つです。
メジャーの場合
1.IIm7 ⇒ V7 ⇒ I
サブドミナント・ドミナント・ケーデンス
2.V7 ⇒ I
ドミナント・ケーデンス
3.IV ⇒ I
サブドミナント・ケーデンス
本によっては3種類だけとしていますが、メジャーとマイナーではテンションやスケールが違うので別物として考え、そうなると6種類です。実際のコード進行をみると解るのですが、メジャーのケーデンスだけで出来てる曲はほとんどありません。そのような曲は終始明るい雰囲気を持ちます。大抵の曲は明るい部分と暗い部分の差を利用して感情を表現します。その差が無ければ、感情の差が無くダイナミクスに欠ける訳です。ジャズを勉強中の身としては、多くのハーモニーを知って色々な表現を出来るようにするほうがいいです。なのでマイナーの場合も考えてみます。
マイナーの場合
1.IIm7(b5) ⇒ V7 ⇒ Im
サブドミナント・ドミナント・ケーデンス
2.V7 ⇒ Im
ドミナント・ケーデンス
3.IVm ⇒ Im
サブドミナント・ケーデンス
僕の感覚では、メジャー/マイナーの違いは大きいです。サブドミナントのIIm7の5度を半音下げてIIm7(b5)にするだけで、かなりマイナー感が漂います。
ツーファイブワン
この中で、最も使われるのがサブドミナント・ドミナント・ケーデンスです。ポップス等ではIIm7の代わりにIVが使われます。ジャズではIIm7をよく使い、このケーデンスを「ツーファイブワン」と呼びます。曲によってはこればかりで出来ているものもあり、とにかく非常に頻度が高いので、このツーファイブワンが重要になってきます。
メジャーとマイナーのミックス
以下のようなタイプもよく出てきます。
IV⇒IVm ⇒ Im
サブドミナント・ケーデンス
ケーデンスの途中でメジャーからマイナーに変化しています。このようにメジャーとマイナーのミックスは、よくあることです。なのでケーデンスにメジャーとマイナーの区別をしていない本が多いのだと思います。
マイナーからメジャーに変化するものもあります。代表的なのは
IIm7(b5) ⇒ V7 ⇒ I
サブドミナント・ドミナント・ケーデンス
Iのところでフェイントのようにメジャーです。突然メジャーに進行するので、意外性を感じます。これはピカルディ終止という名前があります。Stella By Starlight, You And The Night And Music などに出てきます。
長くなってしまいましたが、まとめると
- ケーデンスは3つしかなく、メジャーとマイナーを分けたとしても6個しかない
- その中でもツーファイブが非常に多い