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『ザ・ジャズ・ピアノ・ブック』と『ザ・ジャズ・セオリー』の内容重複箇所

この2冊を持ってる僕は、どう読み進めればいいのか?

『ザ・ジャズ・ピアノ・ブック』を読んでから『ザ・ジャズ・セオリー』を読んでいけばいいと思ってましたが、なんだか同じことが書いてるような気がして読み飛ばそうとするのですが、どこまで読み飛ばせばいいのか?と言う事を判断するためにも読まないといけない。と言う訳で、違いを比較してこの2冊の効率的な読み方をまとめる事にしました。この2冊の書評はいくらでもありますが、どこがどう違うのか分析している人はいないようです。

まずこの2冊はどちらが先に書かれたのかを調べてみました。

『ザ・ジャズ・ピアノ・ブック』は1989年に出版
『ザ・ジャズ・セオリー』は1995年に出版

同時に執筆された訳ではないんですね。つまり同じ内容でも6年後に、読者の声とか反映して見直されている可能性があります。

『ザ・ジャズ・ピアノ・ブック』⇒『ザ・ジャズ・セオリー』

まずは『ザ・ジャズ・ピアノ・ブック』に書かれている内容が、『ザ・ジャズ・セオリー』にどう書かれているのか?をチェックしていきます。

ザ・ジャズ・ピアノ・ブックとザ・ジャズ・セオリーはどこが違うか

Chapter 1 インターヴァルとトライアドの解説

『ザ・ジャズ・セオリー』「Chapter1 基礎理論」に相当。ほぼ同じ内容だが、『ザ・ジャズ・セオリー』の方が説明や譜例がやや多い。

Chapter 2 メジャー・スケールと2-5-1進行

『ザ・ジャズ・セオリー』「Chapter2 メジャースケールとII-V-I進行」の Fig2-13(p18) の手前までに相当。p18からp28までは『ザ・ジャズ・セオリー』のみの内容。

Chapter 3 3ノート・ヴォイシング

『ザ・ジャズ・ピアノ・ブック』のみ。

Chapter 4 susとフリジアン・コード

『ザ・ジャズ・セオリー』の「Chapter3 コードおよびスケールの理論」の「ミクソリディアン・モードとsusコード」p38~p43「フリジアン・モードとsusb9コード」p43~p47に相当。

Chapter 5 3ノート・ヴォイシングへの音の追加

『ザ・ジャズ・ピアノ・ブック』のみ。

Chapter 6 トライトーン・サブスティテューション

『ザ・ジャズ・セオリー』の「Chapter13基本的なリハーモナイゼーション」の「トライトーン・サブスティテューション」p239~p245に相当するが、『ザ・ジャズ・セオリー』の方が説明がかなり多い。

Chapter 7 レフトハンド・ヴォイシング

『ザ・ジャズ・ピアノ・ブック』のみ。

Chapter 8 レフトハンド・ヴォイシングの変化する音

『ザ・ジャズ・ピアノ・ブック』のみ。

Chapter 9 スケールの理論

『ザ・ジャズ・セオリー』の「Chapter3 コードおよびスケールの理論」p29~p88に相当。『ザ・ジャズ・セオリー』の方が説明がかなり多い。

Chapter 10 スケールの使い方

『ザ・ジャズ・セオリー』の「Chapter6 スケールから音楽へ」p107~p156に相当。ボリュームは10倍以上になっている。

Chapter 11 スケールの練習

『ザ・ジャズ・ピアノ・ブック』のみ。指使いが書かれている。

Chapter 12 So What コード

『ザ・ジャズ・ピアノ・ブック』のみ。

Chapter 13 4thコード

『ザ・ジャズ・ピアノ・ブック』のみ。

Chapter 14 アッパー・ストラクチャー

『ザ・ジャズ・ピアノ・ブック』のみ。

Chapter 15 ペンタトニック・スケール

『ザ・ジャズ・セオリー』の『Chapter9 ペンタトニックスケール」に相当。ボリュームは2倍程度になっている。

Chapter 16 ヴォイシング、ヴォイシング、そしてヴォイシング

『ザ・ジャズ・ピアノ・ブック』のみ。

Chapter 17 ストライド・ピアノとBud Powellヴォイシング

『ザ・ジャズ・ピアノ・ブック』のみ。

Chapter 18 4ノート・スケール

『ザ・ジャズ・セオリー』の「Chapter23 未解決の問題」の中の4ノートスケール(p446~448)に相当。 そのボリュームはかなり減っている。『ザ・ジャズ・ピアノ・ブック』で独立したチャプターで10ページ以上あったのに、 『ザ・ジャズ・セオリー』になって未解決の問題として2ページぐらいに減っている。

Chapter 19 ブロック・コード

『ザ・ジャズ・ピアノ・ブック』のみ。

Chapter 20 サルサとラテン・ジャズ

『ザ・ジャズ・セオリー』の「Chapter22サルサとラテン・ジャズ」(p428~438)に一部相当。 そのボリュームは『ザ・ジャズ・ピアノ・ブック』の方が少し多い。 モントゥーノとトゥンバオを扱うため。

Chapter 21 コンピング

『ザ・ジャズ・ピアノ・ブック』のみ。

Chapter 22 未解決事項

  • sus、フリジアン、メロディックマイナーの第2モード
    『ザ・ジャズ・セオリー』の「Chapter3 コードおよびスケールの理論」の中のsusb9thコード(p55~p57)に相当。 これはつまり、ブック執筆した6年後『ザ・ジャズ・セオリー』を執筆する段階で、未解決事項からスケールの理論の中に入って未解決でなくなったという事。 『ザ・ジャズ・ピアノ・ブック』ではミクソリディアン、フリジアン、メロディックマイナーの第2モード、という3つのモードを比較して書かれているが、『ザ・ジャズ・セオリー』ではメロディックマイナーの第2モードについてのみ解説。ミクソリディアンとフリジアンはメジャースケールハーモニーの中で個別に説明。

  • エオリアン・ハーモニー
    『ザ・ジャズ・セオリー』の「Chapter3 コードおよびスケールの理論」の中のエオリアンモード(p48)に相当。

  • メロディックマイナーの第5モード
    『ザ・ジャズ・セオリー』の「Part1 Chapter3 コードおよびスケールの理論」の中のメロディックマイナーの第5モード(p61,p62)に相当。

  • コルトレーン・チェンジ
    『ザ・ジャズ・セオリー』の「Chapter15 コルトレーン・チェンジ」に相当。章として独立し、解説が大幅増。

  • ローリング・オクターブ
    『ザ・ジャズ・ピアノ・ブック』のみ。

  • ハーモニック・メジャー・スケール
    『ザ・ジャズ・セオリー』の「Chapter23 未解決事項」の中のハーモニック・メジャー・スケール(p444,p445)に相当。 ハーモニック・マイナー・スケールとセットになっている。

  •  
  • 音楽理論と呼ばれるには理由がある。
    『ザ・ジャズ・セオリー』の「Chapter23 未解決事項」の中の従来の理論の限界(p448,p449)に似ている。わかりやすく書きなおしたんだなぁ、という感じ。

Chapter 23 練習、練習、そして練習

『ザ・ジャズ・セオリー』の「Part2 Chapter12 練習、練習、そして練習」に相当すると思ったが、内容が結構違っている。『ザ・ジャズ・ピアノ・ブック』の方が、譜例が多くピアノ向けという感じである。『ザ・ジャズ・セオリー』の方が文が多めで、こっちにしか書いてないこともあるのでこれは両方読むしかない。

ピアノ教本と理論書

こうやって見てみると『ザ・ジャズ・ピアノ・ブック』はジャズピアノの教本という感じがします。読み進めると高度な内容になってきます。そしてピアノのヴォイシングは当然こっちにしか書いてません。
一方、『ザ・ジャズ・セオリー』は理論書で、難易度に関係無く扱う内容によって分類されています。重複している部分については、妥協せずに書いた感じで、大方こちらの方が説明が細かくなっています。という訳で、内容が重複している箇所は基本的に『ザ・ジャズ・セオリー』の方を読んだ方が良いと思います。ただし『ザ・ジャズ・ピアノ・ブック』の「Chapter 18 4ノート・スケール」と「Chapter 20 サルサとラテン・ジャズ」は、『ザ・ジャズ・ピアノ・ブック』の方が説明が多くなってます。4ノートスケールはともかく、ラテン・ジャズが好きな人は『ザ・ジャズ・ピアノ・ブック』のChapter20も読んでおくべきです。 また、『ザ・ジャズ・ピアノ・ブック』で扱ってない内容は結構あります。半分以上ありそうです。『ザ・ジャズ・ピアノ・ブック』にブルースに関する説明が一切ないのはどうしたことでしょうか。他に『ザ・ジャズ・セオリー』にしか書いてない重要な内容として、リズムチェンジや、レパートリー、曲の覚え方、リードシートの読み方、コルトレーン・チェンジ、アウトサイドの演奏、そしてリハーモナイゼーションなど…結構あります。

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