耳コピにかかる時間
耳コピはハーモニーを覚えてから
僕が最初に耳コピをした時、すごく時間がかかりました。今思うと、当時はハーモニーに関する知識と聴き分ける能力が足りなかったのだと思います。
しかし、その能力を耳コピで養うのは間違いでしょう。毎日ヴォイシングやフレーズの練習をしていると自然と覚えるものです。テンションもわかるようになるでしょう。例えば、毎日9thと♭9thのヴォイシングを別々に練習していれば、その違いを覚えない方が不自然です。スケールについても、毎日練習していれば、そのスケールを使った時の感じを意識しなくても覚えていくはずです。
なので、こういった基礎練習がきっちり出来ていた方が耳コピーは速くなるはずです。音を聴いた時の雰囲気でどういったハーモニーが使われているか見当がつくようになっているからです。
そういった訳で耳コピに時間がかかりすぎるなら、やらない方がいいと思います。
実際耳コピにかかる時間
では、時間がかかりすぎるって、どのくらいでしょうか?
そこで、僕が耳コピした時にどれぐらいかかったのか書いておきます。
超有名アルバムの「クール・ストラッティン/ソニー・クラーク」を耳コピしたんですが、その時間を測ってみました。
アート・ファーマー(tp)のアドリブの場合
アルバム2曲目の”Blue Minor”におけるファーマーの素晴らしいアドリブです。
アート・ファーマーは音数が比較的少ないトランペッターで、ピッチもしっかりしてるので僕としてはサクサク耳コピできます。この16小節にかかった時間は15分ぐらいです。1コーラスだいたい30分です。あと記譜ソフトのMuseSocreに入力するのに1コーラスあたり20分ぐらいかかってます。
モチーフからビバップフレーズへと流れるように展開してます。素晴らしいですね。
なお、このアルバムで耳コピ・分析した結果はこちらのブログに書いてます。
『Cool Struttin’ / Sonny Clark – ジャズおすすめ』
ジャッキー・マクリーンとアート・ファーマーでは、インプロヴァイズのプロセスが異なっている、という事を詳しく書いてみました。良かったら読んでみてください。
ピアノのエンディング
同じアルバム4曲目の”Deep Night”という曲のソニー・クラークによるエンディングです。
ピアノは時間がかかります。音数が多いし、ここではミスタッチもあり苦労しました。これは9小節程度ですが、1時間もかかりました。やっぱり和音は大変です。
価値を考える
音符が細かいところで何を弾いているのか知りたかったのと、エンディングのコード進行のパターンを蒐集する目的で耳コピしました。この情報を手に入れるのに1時間です。大変だったのですが、このエンディングは本に載っていないパターンなので1時間かける価値はあったと思います。他にも、こんな事をしていたのか!的な事を、驚きをもって発見出来た時などは、本当に耳コピして良かったと思ったりします。例えば…
ホレス・シルバーの名曲”St.Vitus Dance”(超名盤アルバム「ブローウィン・ザ・ブルース・アウェイ/ホレス・シルバー」の2曲目)のリードシートを作る目的でエンディングを耳コピーしていて発見をしました。
最後がディミニッシュコードです。これはトニック・ディミニッシュと言われるものだと思います。ジョビンの名曲”Corcovado”(黒本p50)の6小節目などで見られますがトニックに解決するものです。シルバーはこれをエンディングで解決しない形で使っていたのです。
これを発見した時「ほぉ~、こんな事してるのか~!ファンキーなだけのおっさんではないな~」と興奮してしまいました。ちなみに他にも、シルバーの音を採っていて驚かされた事があります。
耳コピは、なんだか面倒臭くてやる気になれないかもしれませんが、こういう驚きや発見があると、そうは思わなくなってきます。ある程度、基礎練やってハーモニーが判別できるようになったらチャレンジしてみてはどうでしょうか。
尚、ここで紹介したアルバムは超名盤ですので紹介しておきます。
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