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ジャズはなぜ人気がないのか?

ジャズはなぜ人気がないのでしょうか?
ジャズという音楽がつまらないからでしょうか?

最近読んだ「ゲーテの警告 日本を滅ぼす「B層」の正体 / 適菜収」という本にその答えが書いてありました。ちょっと長くなりますが引用します。

<<引用開始>>

驚異的な売れ行きを示しているハンバーガーチェーンがあります。
では、そこのハンバーガーが食通に愛されているのでしょうか?
もちろん違います。

販売戦略において、最初から食通は相手にされていない。ターゲットは主にB層です。要するに、「食べる」という文化的行為に価値を置いていない人々ですね。彼らは「食事を済ます」という表現を平気で使います。

売れている音楽も同様です。売るためには、いい音楽や面白い音楽をつくるのではなく、マーケティングによって計算された適度にありがちで、適度に心地よい音楽をつくらなければならない。現在の音楽業界では、背広を着たエリートが日々努力を重ねて、大量の資本を投入することにより「万人受けする適度につまらないもの」をつくっているのです。だから、「最近のポピュラー・ミュージックはつまらない」「カラオケ用の商品になってしまっている」などと批判しても仕方がありません。

2001年から2010年までを振り返ると、日本レコード大賞は浜崎あゆみが3回、EXILEが3回受賞しています。こういう音楽を普通の音楽ファンが聴くことはないでしょう。そもそも販売戦略のターゲットに音楽ファンは含まれていない。最初からアルバムを買わせようとも聴かせようとも考えられていない。これは、ハンバーガーチェーンが食通を相手にしないのと同じ理由です。彼らの視線は顧客のB層にだけ向けられています。

音楽ファンが買わないからこそ、彼らのCDは良く売れる。

~中略~

世の中には一流の映画が山ほどあります。しかしB層が見るのはハリウッドです。
世の中には一流の音楽が山ほどあります。しかしB層が聴くのはビルボードです。
世の中には一流のレストランがたくさんあります。しかし、B層は同じ金額を払って、わざわざ三流の店に足を運びます。

古典的名著も愚著も、書店ではほぼ同じ値段で売られている。資本主義社会では価値がはっきりするのではなくて、価値が曖昧になります。

B層の病は資本主義の病でもある。資本主義の成熟が、B層の拡大をさせています。凡庸な人間(B層)は、凡庸であるがゆえに、偉大な人間を理解することはできません。自分の枠内でしか価値を測ることができないからです。

~中略~

ゲーテは嘆きます。

「多くの人は、自分が知っていることには誇りを持っている。そして、自分の知らぬことに対しては、すべての人が驕慢である」

「ある人たちは、二流程度のもので生計を立てているので、彼らは詭弁を弄して(中略)徹底的に批判する」

B層社会では、簡単に理解できないもの、難しいもの、一流のものは「つまらない」とけなされるようになります。

~中略~

「私たちは自分の上にあるものを認めないことで自由になるのではない。自分の上にあるものに敬意を払うことにより、自由になるのだ。」

自分の上にあるものを尊敬し、価値を認めることによってはじめて、自分自身をそこまで高める可能性が出てくる、とゲーテは言います。目が肥えれば、プロの仕事のすごさがわかるし、教養が高まれば教養人のすごさがわかるようになる。

「私たちは、すでに知っており理解しているものだけを見るのである。しかし、毎日目の前にあるもので、永の年月見逃しているものが、私たちの知識や教養が深まっていくとはじめて認識されるという事がよくあるものである。つまり、私たちのもっとも大切な目標から私たちを切り離しているものが、紙一枚の隔壁にすぎないことがあるのだ。私たちは大胆にこれをつき破ればいいのだ」

知が攻撃され、教養が軽視される社会においては、「目の前」にあるものはなにも見えず、理念やイデオロギーだけが膨らんでいきます。

<<引用終了>>

ゲーテの警告 日本を滅ぼす「B層」の正体 適菜収著

ゲーテの警告 日本を滅ぼす「B層」の正体
適菜収 (著)
ISBN-10: 4062727269
ISBN-13: 978-4062727266
905 円
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教養のある人なら「なぜジャズは人気ないのだろう?」などと思う事はないのでしょう。ミュージシャンの方々には、迷う事なく一流の音楽を作っていってほしいものです。

この本は芸術にも言及しています。自分を豊かにしてくれる良い本だと思います。 くだらない本読んでる暇があったら古典的名著を読まないと。

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